はじめに:AI動画は「表現の場」へ
AIによる動画制作は、もはや単なる趣味の域を超え、新たな「表現の場」として、また「コンテストでの受賞」といった大きな目標を目指せるフィールドへと進化しています。
2025年6月から7月にかけて開催されたAI動画コンテスト「ViduGameShow」。このコンテストで、私は幸運にもTikTok人気賞をいただくことができました。このようなコンテストでは、AIの特性を理解し、いかに映像を魅力的に仕上げるかが評価の鍵となります。
<参考・受賞作動画URL>
https://www.tiktok.com/@hinako_175_ando/video/7518912472309353735
この記事では、私の受賞経験を基に、「RPGのバトルシーン」のような迫力ある動画を制作するための具体的な5つのステップを解説します。
ステップ1:核となる「キャラクター」を高彩度で生み出す
動画制作の土台は、なんといってもキャラクターデザインです。私が最も意識したのは、動画で映える「高彩度でくっきりとした」イラストを生成することでした。

- RPGらしさを強調:武器や防具といったアイテムをしっかり描き込むと、世界観がぐっと深まります。
- 第一印象を決定づける:SNSでは瞬時のインパクトが重要です。目を引くシルエットや配色を考え抜くことが、多くの人に見てもらうための第一歩となります。
ステップ2:動作を安定させる「三面図リファレンス」の活用
RPGのバトルシーンはアクションやカメラワークが激しく、キャラクターの動きが崩れやすいという課題があります。
そこで役立ったのが、キャラクターの三面図(正面・背面・横)を「マイリファレンス」に登録する手法です。これにより、AIがキャラクターの形状を多角的に認識し、映像の安定性が格段に向上しました。アクションが滑らかで、違和感の少ない映像に仕上がりました。

※上記三面図はmidjourneyのビデオ機能を用い、正面・背面・横のフレーム画像を保存、編集して作りました。最近は「nano banana(Gemini 2.5 Flash Image)」のような便利なツールもあり、三面図の生成は以前より手軽になっています。
なお、マイリファレンス登録の際には、「スタイル」に『3D rendering』と追記するのが、私なりのポイントです。

ステップ3:迫力を生む「エフェクト」をリファレンスで表現する
映像の迫力を決定づけるのが、光や魔法などの「エフェクト」です。魔法陣、光の軌跡、爆発といった彩度が高く形状が明確な画像は、視聴者の視線を釘付けにします。
私は、自ら生成した魔法陣やステンドグラス風の画像を3枚用意し、そのままマイリファレンスに追加し、動画に反映させました。3枚のうち一番インパクトがある画像をメインにしました。

【ワンポイントTIPS】マイリファレンスの「説明」は変更しない
私の経験上、「説明」欄を編集すると、AIの解釈が変わり、意図しない動きになることがありました。そのため、私は、自動生成された説明をそのまま使い「スタイル」のみを調整しています。

ステップ4:「プロンプト」はLLMと協力して最適化する
プロンプト(AIへの指示文)は、AIツールの心臓部です。しかし、優れたプロンプトをゼロから考えるのは簡単ではありません。
私は表現力や語彙力に自信がないため、ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)に複数のプロンプト案を出してもらうことから始めます。例えば、以下のような要素を組み合わせ、たたき台を作ってもらいます。
- アクション:a warrior dancing with a sword held high (剣を掲げて舞う戦士)
- 世界観:RPG-style battle scene (RPG風の戦闘シーン)
- 品質:smooth animation, coherent motion (スムーズなアニメーション、破綻のない動き)
最も重要なのは、生成された動画を確認しながら、自分のイメージに合わせてプロンプトを微調整していくことです。自分のイメージとLLMの回答、キャッチボールを何度も続け試行錯誤する先に、あなただけの「当たりプロンプト」が待っています。
ステップ5:自分だけの「成功パターン」を蓄積し応用する
AI動画は、同じプロンプトでも生成結果が毎回少しずつ変わります。だからこそ、うまくいったプロンプトは必ず保存し、複数の「成功パターン」を手元にストックしておくことが、制作の安定化につながります。
私の場合、「剣を振る際の光のエフェクト」や「背景を流れるパーティクル(光の粒子)」が綺麗に出力されるプロンプトを複数用意していました。これにより、常に成功率が高い、華やかな映像を効率的に制作できるようになったと感じています。

※参考までに、私の基本設定は【Vidu2.0/720p/オート】です。
さいごに:AIは、誰もがクリエイターになれる魔法
ViduGameShowでの挑戦を通じて私が学んだのは、AI動画制作で最も大切なのはツールの使い方を覚えること以上に、「表現力を磨くための試行錯誤」を続けることだという事実です。
- 高彩度なキャラクターで目を引く
- 三面図で動きを安定させる
- 華やかなエフェクトで心を奪う
- LLMと共にプロンプトを練り上げる
- 成功パターンを蓄積し、自分の武器にする
これらの積み重ねが、作品の質を大きく左右します。
AIは、私のようなごく普通の人間でさえ、アイデア次第でクリエイターになれる可能性を秘めていると教えてくれました。この記事が、あなたの創作活動のヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。
私もAIと共に新たな表現を追求し、皆さんを驚かせるような作品を届けられるよう、これからも挑戦を続けます。