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音痴でも作曲できた!生成AIでバズるMVを作った方法

こんにちは!日本でAIクリエイターとして活動している妖精アーヤ(fairy aya)です。

私はAIを活用して新しい表現方法を模索したり、その楽しさを発信したりしています。AIの進化は目覚ましく、日々新たな可能性が生まれていることにワクワクしています。

そんなある日、私のスマートフォンに信じられない通知が届きました。それは、かつて「Apple Pen(PPAP)」で世界中を熱狂の渦に巻き込んだ、あのピコ太郎(古坂大魔王)さんから、私のSNSアカウントがフォローされたという知らせでした。

一瞬、何かの間違いではないかと思いました。

なぜなら、私はこれまで音楽とは無縁の人生を歩んできたからです。具体的に言うと、音程という概念が私の辞書からは抜け落ちているのではないかと思うほど、筋金入りの「音痴」なのです。そんな私が、まさか世界のレジェンドに認知される日が来るなんて、夢にも思っていませんでした。

さらに驚くべきことに、ピコ太郎さんは私のことを単なるAIクリエイターとしてではなく「曲を作る人」として認識してくださっていたのです。

実際に制作したMVがこちらです。

https://youtu.be/cDfTc8Mhidg

これは、私個人の手柄では決してありません。この出来事は、まさに現代における「時代の凄さ」を如実に物語る証左と言えるでしょう。生成AIという、まるで魔法のようなテクノロジーを味方につければ、特別な才能や長年の訓練がなくとも、誰もがクリエイターとしての一歩を踏み出せる。そんな時代が、もう目の前に来ているのです。

この記事では、音楽経験ゼロ、むしろマイナスからのスタートだった私が、生成AIの力を借りてどのようにしてオリジナルのミュージックビデオ(MV)を制作したのか、その行程を公開します。

1. 出発点 ― 音痴でもAIがあればなんとかなる

1-1. AIがあれば、才能がなくても挑戦できる

冒頭でも触れましたが、私は自分の歌声に絶対的な自信がありません。いわゆる「音痴」というやつで、その自覚があるからこそ人前で歌うことには抵抗感がありました。カラオケは好きですがそれはもっぱら「ひとりカラオケ」専門。作曲の経験はもちろんゼロ。楽譜も読めませんし、楽器も一切演奏できません。音楽の才能という点では、限りなくマイナスに近い地点からのスタートでした。

しかし、そんな私の中に抑えきれないほどの欲求が湧き上がってきたのです。「自分だけのオリジナルMVを作ってみたい!」という野望でした。

頭の中には、キラキラしていて、可愛らしくて、でもどこかちょっぴりダークで癖になるような、そんな世界観が漠然と浮かんでいました。

でも、どうやって?

音痴で、作曲経験もない私が、どうすればそんなものを形にできるというのでしょう。

それを叶えてくれたのが「生成AI」の存在でした。私はまず、最も身近なAIアシスタントであるChatGPTに相談してみることにしました。
「ねえ、ChatGPT。私、POPで可愛くて、でもちょっと毒があるような、中毒性の高いミュージックビデオを作ってみたいんだけど、どう思う?」

期待を込めて問いかけると、ChatGPTはまるで優秀なカウンセラーのように、私の曖昧なイメージを丁寧に聞き出し、具体的なアイデアへと導いてくれました。この瞬間から、私の「Kawaii Monster」プロジェクトは、動き出したのです。

1-2. 創造の翼を広げるためのツールたち

MV制作という壮大なプロジェクトを実現するためには、適切なツール選びが不可欠です。それぞれの工程で、私の創造力を最大限に引き出し、かつ専門知識がない私でも扱えるようなAIツールを選定しました。以下に、今回私が実際に使用したツールとその目的、そして選定理由や簡単な補足を紹介します。

これらのツールは、それぞれが特定の分野で驚くべき能力を発揮します。重要なのは、一つのツールに固執するのではなく、目的に応じて最適なツールを組み合わせ、それぞれの長所を最大限に活かすこと。まるでオーケストラの指揮者のように、各楽器(ツール)の特性を理解し、調和させることで、より豊かで深みのある作品を生み出すことができるのです。

2. コンセプト固め ― “Kawaii Monster”の誕生秘話

MV制作の心臓部とも言えるのが作品全体の方向性を決定づける「コンセプト」です。私が目指したのは単に可愛いだけの世界観ではなく、その奥に潜む「毒」や「狂気」といったスパイスを効かせ、一度見たら忘れられないような、癖になる楽曲と映像でした。

2-1. インスピレーションの源泉とキーワードスケッチ

普段から私が好んで視聴しているのは、韓国のアーティストたち(K-POPアイドル)が発表する、ファッショナブルで洗練されたミュージックビデオです。彼女たちのMVは、音楽性はもちろんのこと、映像美、衣装、ダンス、ストーリー性など、あらゆる要素が高いレベルで融合しており、一つの総合芸術作品として楽しむことができます。特に、BLACKPINKといったグループが見せる、キュートさとクールさ、時にはダークな要素を併せ持つ多面的な魅力に強く惹かれていました。そこから、「ただ可愛いだけじゃない、何か裏のあるキャラクター」という着想を得ました。

この漠然としたイメージを具体的なコンセプトに落とし込むため、いくつかのキーワードをスケッチし、それらを組み合わせることで世界観を構築していきました。

  • Cute × Grotesque(キュート × グロテスク)のギャップ萌え:
    表面上は甘く可愛らしい少女。しかし、その内面には予測不可能で、どこか恐ろしい「モンスター」のような一面を隠し持っている。この強烈なギャップこそが、視聴者の心を掴むフックになると考えました。甘い蜜に誘われて近づいたら、実は恐ろしい罠だった…というような、背徳的な魅力です。
  • 主従逆転のラブゲーム:
    恋愛において、か弱い存在に見える女の子が、実は相手を巧みに手玉に取り、支配しているという構図。一見すると男性に「守ってあげたい」と思わせるような可憐さを持ちながら、その実、相手を自分の虜にしコントロールする力を持つ。この「主従逆転」のテーマは、歌詞や映像表現においても重要な要素となりました。
  • 韓流MVの洗練されたファッショナブルな雰囲気 + 日本的な「Kawaii」カルチャーの融合:
    K-POP MVのようなスタイリッシュでクールな映像美を取り入れつつも、キャラクターデザインや歌詞の世界観には、日本のポップカルチャー特有の「Kawaii(カワイイ)」要素をふんだんに盛り込みたいと考えました。ただし、それは単なる模倣ではなく、私なりの解釈を加えたオリジナリティのあるものにしたいという思いがありました。

これらのキーワードを胸に、再びChatGPTとの対話を開始しました。私がChatGPTに投げかけたのは、より具体的なイメージを喚起するようなフレーズ群です。

「ねえChatGPT、こんなイメージの歌詞のキーワードってどうかな?

  • <甘い罠>: 聴く人を惹きつけるけど、どこか危険な香りのする誘惑。
  • <かわいい女の子のモンスターとしての本性>: 純粋無垢に見える少女が内に秘めた、予測不能でダークな一面。
  • <耳に残るリフレイン>: 一度聴いたら頭から離れない、中毒性の高い繰り返しフレーズ。」

これらのキーワードを伝えると、ChatGPTは瞬く間に様々なアイデアを提案してくれました。その中で、私の心を射抜いたのが、“Suki Suki Love Love / Getchu Getchu” という、なんともキャッチーで、一度聞いたら忘れられないフレーズでした。

「おお、これは可愛い! しかも、すごく耳に残るじゃないか!」

直感的に、これが楽曲の強力なフックになると確信しました。このフレーズを中心に、歌詞の世界観を広げていこう。こうして、プロジェクトの核心となるコンセプト「Kawaii Monster(カワイイ・モンスター)」の骨格が、確かな輪郭を持って姿を現したのです。それは、可愛らしさの仮面を被った、予測不能な小悪魔のような存在。そのアンバランスな魅力こそが、この楽曲の最大の武器になると感じました。

3. 作詞 × ChatGPT ― 会話形式で磨き上げる言葉の魔法

コンセプトが固まれば、次はいよいよ歌詞の制作です。ここでも、私の頼れる相棒であるChatGPTが大活躍してくれました。特に重宝したのが、ChatGPTの「音声モード(対話モード)」です。

3-1. 音声対話モードの威力 ― 思考を止めないクリエイティブフロー

キーボードで文字を打ち込む作業は、時として「ちゃんと書かなきゃ」「論理的に構成しなきゃ」というプレッシャーを生み、自由な発想を妨げてしまうことがあります。

しかし、音声モードを使えば、まるで友人と雑談でもするかのように、頭に浮かんだ言葉やアイデアをそのままAIに伝えることができます。思考のスピードを落とすことなく、次から次へと言葉を紡ぎ出せるため、より直感的でスピーディーな作詞作業が可能になります。

実際に私がChatGPTに話しかけた内容は、お世辞にも整理されているとは言えない、かなり雑多なものでした。

「うーん、なんていうか…その、かわいい女の子が主人公なんだけどね。彼女って、すっごくキュートで、男の子たちはみんな彼女の可愛さにメロメロになっちゃうわけ。でも、実は彼女、心の中では『本当の私は、もっとヤバい部分もあるんだけど…それでも私のこと愛してくれる?』って思ってる感じ。見た目の可愛さだけじゃなくて、内側に隠してるエイリアンみたいな、ちょっとグロテスクな部分も、本当の私なんだよって。それをミュージックビデオで表現したいんだよね。だから最終的には、そのかわいい女の子の皮膚を突き破って、中から触手みたいなのが出てくる…みたいなショッキングなシーンも入れたい。ポップでキュートな世界観なんだけど、どこかグロテスクで、それが女の子たちには共感されて、男の子たちにはちょっと面白がってもらえるような、そんなポップな曲を作りたいんだよね…! とにかく、甘くて可愛いだけじゃない、毒のある感じ。分かるかな?」

…今読み返すと、支離滅裂で、言いたいことをただ羅列しているだけですよね(笑)

まさに「てんこ盛り」状態です。しかし、ChatGPTはこんな私のとりとめもない話からでも、的確に意図を汲み取り、共感を示し、そして創造的な提案を返してくれました。この「何でも受け止めてくれる安心感」が、私のアイデアをさらに引き出してくれたのです。

3-2. 作詞の3ステップ ― ChatGPTとの共同作業

ChatGPTとの作詞は、大きく分けて以下の3つのステップで進めました。

  • Step 1:雑談ベースのブレインストーミング ― 思いつきをそのままぶつける
    前述したように、まずは頭に浮かんだイメージやキーワード、断片的なストーリーなどを、音声入力でChatGPTにひたすら話しかけます。この段階では、論理性や完成度を気にする必要は全くありません。「こんな感じかな?」「あれも入れたいな」といった具合に、自由気ままにアイデアの種を蒔いていくイメージです。ChatGPTは、これらの情報を整理し、テーマや方向性を絞り込む手助けをしてくれます。
  • Step 2:直接的な表現から間接的な表現へ ― 「ダサさ」を回避する工夫
    伝えたいメッセージや感情を、そのまま直接的な言葉で表現してしまうと、どうしても説明っぽくなったり、説教臭く聞こえたりして、歌詞としての魅力が半減してしまいます。いわゆる「ダサい」歌詞になりがちです。例えば、「私は本当はモンスターなの」とストレートに言うのではなく、それを暗示するような比喩表現や情景描写を用いることで、歌詞に深みと奥行きが生まれます。
    このステップでは、ChatGPTに「この表現、もっと詩的にできないかな?」「この感情を、直接的じゃなくて、何か別のものに例えて表現したいんだけど」といった相談をしながら、言葉を磨き上げていきました。例えば、「モンスター」という直接的な言葉を避け、「エイリアン heart」「モンスターの影」「neon claw」といった、よりイメージを喚起する言葉に置き換えていきました。
  • Step 3:韻と反復(リフレイン)の活用 ― キャッチーさと中毒性を追求
    楽曲の印象を決定づける上で非常に重要なのが、口ずさみやすいリズム感と、耳に残るキャッチーなフレーズです。そのため、歌詞の随所に韻を踏んだり(ライミング)、印象的なフレーズを繰り返したり(リフレイン)する工夫を凝らしました。
    ChatGPTは、韻を踏む言葉の提案や、リフレインに適したフレーズの作成においても非常に優秀です。「このフレーズと韻を踏む言葉、何かある?」「もっと中毒性のあるサビにしたいんだけど、どんな繰り返しがいいかな?」と尋ねると、的確なアドバイスをくれます。冒頭で触れた「Suki Suki Love Love / Getchu Getchu」というフレーズも、まさにこのステップで磨き上げられ、楽曲の顔となりました。

私が特に作詞プロセスで重要視したのは、Step2の「直接的な表現を避ける」という点です。伝えたいメッセージ性はしっかりと持ちつつも、それをいかに芸術的で、聴き手の想像力を掻き立てるような言葉で包み込むか。それが、聴く人の心に深く刺さり、感情移入を促す歌詞を生み出すための鍵だと考えています。ChatGPTとの対話を通じて、この「言葉の抽象度を高める」作業を繰り返しました。

3-3. “Kawaii Monster”の歌詞 ― その言葉に込めた想い

こうして、ChatGPTとの数えきれないほどの対話と試行錯誤を経て完成したのが、以下の歌詞です。(一部抜粋)

Getchu, Getchu, suki suki本当のワタシ know you can’t see
(ゲッチュー、ゲッチュー、好き好き 本当の私、あなたには見えないでしょう)
「本当の私」というキーワードで、隠された本性を示唆。

“可愛いね”って言うたび deep inside
エイリアン heart が tick tick tick
褒め言葉とは裏腹に、内面では異質な「エイリアンハート」が鼓動している。時限爆弾のような危うさ。

思わせぶりに shake my head
“私を捕まえた” つもり? Nope — you’re the pet.
相手が優位に立っていると思わせておきながら、実は自分が相手を「ペット」のように手懐けているという主従逆転。

モンスターの影 under my skin
だけど darlin’, 触れてみる? come in
皮膚の下に潜むモンスターの影。危険を承知で誘い込む挑発的な態度。

この歌詞には、「可愛いけれど油断ならない」「甘い言葉の裏に隠された本性」「相手を虜にする小悪魔的な魅力」といった、「Kawaii Monster」のコンセプトを構成する要素を散りばめました。ChatGPTとの共同作業だからこそ生まれた、私一人では到底たどり着けなかった言葉の組み合わせや表現が、そこかしこに詰まっていると自負しています。

4. 作曲 × Suno ― 誰もが作曲家になれる魔法のツール

歌詞が完成したら、次はいよいよ楽曲の制作です。音楽経験ゼロの私にとって、作曲は最もハードルが高い工程の一つでした。しかし、ここでも生成AIが救いの手を差し伸べてくれました。今回、作曲に用いたのは「Suno AI」という、驚くほど簡単に高品質な楽曲を生成できるAIサービスです。

4-1. Suno AIの選定理由

他の音楽生成AIもいくつか試しましたが、Suno AIは特にJ-POPやK-POPのような現代的なポップミュージックの生成に長けている印象を受けました。また、歌詞を入力すれば、その歌詞に合わせて歌唱まで生成してくれる点も大きな魅力でした。

4-2. Suno AIでの作曲プロセス ― プロンプトエンジニアリングの妙

Suno AIの使い方は非常にシンプルです。
まず、Suno AIのウェブサイトにアクセスし、作曲モードを選択します。そこには大きく分けて2つの入力欄があります。

  1. Lyrics(歌詞): ここに、先ほどChatGPTと協力して作成した「Kawaii Monster」の歌詞をそのまま貼り付けます。
  2. Style of Music / Music Style(音楽のスタイル): ここがSuno AIの肝となる部分で、生成したい楽曲のジャンル、雰囲気、使用楽器、テンポなどを英語のテキストプロンプトで記述します。このプロンプトの質が、生成される楽曲のクオリティを大きく左右します。

「Style of Music」のプロンプトをどう書くか。これもまた、ChatGPTの得意分野です。私はChatGPTに以下のように相談しました。

Suno AIで曲を作ろうと思ってるんだけど、『Kawaii Monster』の歌詞に合うような曲調を考えてほしいんだ。イメージは、K-POPアイドルが歌ってそうな、キャッチーなエレクトロポップ。ちょっとダークでミステリアスな雰囲気も欲しいんだけど、サビは中毒性があって耳に残る感じがいいな。何かいい感じの英語プロンプトを提案してくれない?」

するとChatGPTは、いくつかのプロンプト案を提示してくれました。その中から、最もイメージに近いものをベースに、さらに微調整を加えてSuno AIに入力しました。例えば、以下のようなプロンプトです。

"Energetic K-Pop, dark electro pop, catchy chorus, female vocal, synth-heavy, driving bassline, mysterious vibe, BPM 128, kawaii but edgy"

このプロンプトには、「エネルギッシュなK-POP」「ダークなエレクトロポップ」「キャッチーなサビ」「女性ボーカル」「シンセサイザー多用」「ドライビングなベースライン」「ミステリアスな雰囲気」「BPM128」「カワイイけどエッジが効いている」といった、楽曲に求める要素を具体的に詰め込みました。

プロンプトと歌詞を入力して生成ボタンを押すと、Suno AIは数十秒から数分程度で、2パターンの楽曲(それぞれ約2分程度の長さ)を提案してくれます。生成された曲を聴いた時の感動たるや。「ありそう!かわいい!ヤバイ!」と感極まってしまいました。

もちろん、一発で完璧な曲ができるとは限りません。生成された曲がイメージと少し違う場合は、プロンプトを調整したり(例えば、「もっとアップテンポに」「もっとボーカルを前面に」など)、Suno AIの「Continue from this song(この曲から続ける)」機能を使って、気に入った部分を元にさらに別のバリエーションを生成させたりします。この試行錯誤のプロセスもまた、AIとの共同創造の醍醐味の一つです。

5. キャラクター設計 × Midjourney ― 歌詞の世界観をビジュアル化する

楽曲と歌詞が揃えば、次はミュージックビデオの顔となるキャラクターの設計です。歌詞で描いた「Kawaii Monster」の世界観を、視覚的に魅力的なキャラクターとして具現化するために、画像生成AIの「Midjourney」を活用しました。

5-1. ChatGPTとの連携 ― プロンプト生成のパートナーシップ

Midjourneyは、テキストプロンプトに基づいて非常に高品質で独創的な画像を生成できるAIですが、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、詳細で的確なプロンプトを作成する技術(プロンプトエンジニアリング)が求められます。しかし、優れたプロンプトを一から考えるのはなかなか難しい作業です。

そこで再び、ChatGPTの力を借りました。私はChatGPTに「『Kawaii Monster』の歌詞の世界観に合うような、魅力的な女の子のキャラクター画像をMidjourneyで生成したい。そのためのプロンプトを考えてほしい」と依頼しました。その際、キャラクターに持たせたい特徴や雰囲気、衣装のイメージ、MV全体のトーンなどを具体的に伝えました。

  • 楽曲のコンセプト: 「Cute × Grotesque」「主従逆転」「韓流MVのような洗練されたファッショナブルさ」
  • キャラクターのイメージ: 「一見可愛らしいが、どこかミステリアスで小悪魔的な雰囲気を持つアイドル風の女の子」「甘さと毒を併せ持つ二面性」
  • ビジュアルのキーワード: 「パステルカラー」「ネオン」「キラキラ」「でもどこかダーク」

これらの情報を元に、ChatGPTはいくつかのプロンプト案を生成してくれました。それを叩き台にして、さらに私自身のこだわりを加えながら、最終的なプロンプトを練り上げていきました。

5-2. “Kawaii Monster”のキービジュアルプロンプト事例

今回、MVのキービジュアルとなる女の子のキャラクターを生成するために、私がMidjourneyに入力したプロンプトの一つがこちらです。

full-body Korean-Japanese female idol, pastel purple & pink gradient twin space buns with pearl hairpins, straight bangs, cream-pink fluffy faux fur jacket, iridescent pleated mini skirt, chunky pink glitter platform boots with fluffy white socks, soft glam makeup, glossy rose lips, silver layered jewelry, hyper-realistic 8K, high-fashion MV style, studio lighting, sharp focus, intricate details

このプロンプトには、以下のような要素が細かく指定されています。

  • full-body: 全身像であること。
  • Korean-Japanese female idol: 韓国と日本のアイドルの雰囲気を併せ持つ女性。特定の国籍に偏りすぎない、グローバルな魅力を意図しました。
  • hyper-realistic 8K: 超高解像度でリアルな質感。
  • studio lighting, sharp focus, intricate details: スタジオ照明、シャープな焦点、細部まで作り込まれたディテール。

このプロンプトを入力すると、Midjourneyは4枚の候補画像を生成します。その中から最もイメージに近いものを選び、さらに高解像度化したり、細部を調整したり(バリエーション生成機能などを使用)して、理想のキャラクタービジュアルを追求していきます。時には、プロンプトの単語を少し変えたり、要素を追加・削除したりしながら、何度も生成を繰り返すこともあります。この試行錯誤のプロセスこそが、理想のビジュアルを生み出すための鍵となります。

5-3. 多様なシーンのビジュアル展開

MVでは、同じキャラクターでも様々な表情やシチュエーションを見せる必要があります。そのため、キービジュアルだけでなく、歌詞の展開や曲調の変化に合わせて、異なる雰囲気の画像も複数生成しました。

例1:

half-body front shot of the idol placing one hand over her chest with eyes closed, a translucent neon alien heart floating in front of her body, softly glowing in sync with tick tick tick motion, pastel twin buns, pearl details, soft glam makeup, background fades to soft white void with pink glitch pulses, surreal sci-fi elegance, 8K hyper-realistic

例2:

cinematic over-the-shoulder shot of the idol looking into a mirror, but her reflection shows glowing monster eyes, clawed hands, and alien scales creeping from her neck, pastel purple-pink twin space buns, cream-pink fluffy faux fur jacket, silver chains, surreal white bathroom with cracked lighting, faint heartbeat pulsing in reflections, 8K MV realism

例3:

mid-shot of the idol whispering with both hands near her mouth, soft pastel fog behind her begins to form a monstrous silhouette mimicking her posture, pastel purple-pink hair in twin buns, cream-pink fluffy jacket, silver chains glinting, duality theme emphasized, soft dreamlike glow, high-fashion surrealism in 8K

これらのように、歌詞の内容や伝えたい感情に合わせてプロンプトを細かく調整し、多様なビジュアルをMidjourneyで生成していくことで、MV全体の表現の幅を広げることができました。Midjourneyは、まさに私の頭の中にある漠然としたイメージを、驚くほど美しいビジュアルアートへと昇華してくれる魔法の絵筆です。

6. 動画生成 ― 静止画に命を吹き込むAIアニメーション

楽曲、歌詞、そしてキャラクタービジュアルが揃ったら、いよいよこれらを組み合わせてミュージックビデオの形にしていきます。Midjourneyで生成した美しい静止画たちに命を吹き込み、動きのある映像へと昇華させるために、複数の動画生成AIツールを戦略的に使い分けました。

6-1. 動画生成AIの使い分け戦略 ― 適材適所のツール選定

現在、動画生成AIの分野は急速に進化しており、様々な特徴を持つツールが登場しています。今回は、それぞれのツールの強みを活かし、より表現力豊かなMVを制作するために、以下の3つのAIを主に活用しました。

◆ HeyGen:
リップシンク(口パク)の精度に定評のあるAI。
生成したキャラクターの静止画と、Suno AIで生成した歌唱音源をHeyGenにアップロードすると、歌詞に合わせてキャラクターの口元が自然に動く動画を生成してくれます。特に、顔の表情と口の動きの同期性が高く、キャラクターが本当に歌っているかのようなリアルな表現が可能です。MVにおいて、歌唱シーンは非常に重要な要素となるため、リップシンクのクオリティには特にこだわりました。
HeyGenを使う際は、音声ファイルと、口を動かしたいキャラクターの顔がはっきりと写っている画像を用意します。操作は比較的簡単で、ファイルをアップロードし、いくつかの設定を行うだけでリップシンク動画が生成されます。ただし、完璧な同期を得るためには、元画像の品質や、音声の明瞭さも影響します。

◆ Vidu:

Image to Video(画像からの動画生成)とReference機能(参照スタイル模倣)が強力なAI。
Viduは、Midjourneyで生成した1枚の静止画を元に、短い動画クリップ(数秒程度)を生成する能力に長けています。例えば、キャラクターがゆっくりと瞬きをしたり、髪が風にそよいだり、背景が微妙に変化したりといった、自然な動きを加えることができます。また、特定の動画や画像のスタイルを「リファレンス」として読み込ませることで、生成される動画の雰囲気や動きの質感をそのリファレンスに近づけることも可能です。今回は、キービジュアルや各シーンの代表的な静止画に動きを加え、MV全体のダイナミズムを高めるために活用しました。

◆ Higgsfield:
テンプレートベースのエフェクト動画生成に特化したAI。
Higgsfieldは、あらかじめ用意された多数の動画テンプレートに、自分の画像や動画をはめ込むだけで、プロが作ったようなスタイリッシュで特徴的なエフェクト(キラキラした粒子が舞う、ネオン風のラインが走る、サイケデリックな色彩変化など)を加えた短い動画クリップを簡単に作成できます。MVの中で、特に印象づけたいシーンや、単調になりがちな部分にアクセントとしてHiggsfieldで生成したクリップを挿入することで、視覚的な面白さやテンポ感を生み出すことができます。
例えば、サビの盛り上がり部分で、キャラクター画像にリズミカルなエフェクトを加えたり、間奏部分で抽象的なアート風の動画を生成したりするのに役立ちました。

これらのAIツールを単独で使うのではなく、それぞれの特性を理解し、目的に応じて使い分けることで、より複雑で魅力的な映像表現が可能になります。例えば、まずMidjourneyで高品質なキャラクター静止画を生成し、次にViduでその静止画に基本的な動きを加え、さらにHeyGenでリップシンクを施し、最後にHiggsfieldで生成したエフェクト動画をアクセントとして組み合わせる、といった流れです。

6-2. 編集・最終調整 × Filmora ― 映像を一つの物語へ

各AIツールで生成された動画クリップの断片が集まったら、それらを一つのミュージックビデオとしてまとめ上げる編集作業が必要です。この最終工程で活躍したのが、動画編集ソフト「Filmora(Wondershare)」です。

Filmoraは、直感的で分かりやすいインターフェースが特徴で、動画編集の初心者でも比較的簡単に扱うことができます。それでいて、カット編集、トランジション(場面転換効果)の追加、テロップやタイトルの挿入、色調補正、エフェクトの適用、BGMや効果音の調整など、本格的な動画編集に必要な機能が一通り揃っています。

具体的な編集作業としては、以下のようなことを行いました。

  • クリップの配置と尺調整: Suno AIで生成した楽曲の展開(Aメロ、Bメロ、サビなど)に合わせて、各シーンの動画クリップをタイムライン上に配置し、それぞれの長さを調整。
  • カット編集とトランジション: 各クリップの不要な部分をカットし、場面転換がスムーズに見えるようにトランジション効果を適用。
  • エフェクト: 特定のシーンを際立たせるためにFilmoraに内蔵されているエフェクトを追加。
  • 最終的な書き出し: 完成したMVをプラットフォームに適したフォーマットと解像度で書き出し。

この編集作業は、AIが生成した素材に最終的な「魂」を吹き込む、非常にクリエイティブな工程です。どのクリップをどの順番で見せるか、どんなエフェクトで感情を表現するか、といった一つ一つの判断が、MV全体の印象を大きく左右します。AIが提供してくれるのはあくまで「素材」であり、それをどう料理して「作品」に昇華させるかは、最終的には人間の感性と編集技術にかかっています。

音痴で音楽経験ゼロだった私が、AIという強力なパートナーを得て、作詞、作曲、キャラクターデザイン、そして動画制作という、これまで夢のまた夢だと思っていたクリエイティブな作業を一つ一つクリアし、ついに一本のミュージックビデオを完成させることができたのです。

まとめ ― あなたもAI時代のクリエイターになれる

音痴で、楽器も弾けず、作曲経験も皆無だった私が、たった一人で(正確にはAIと共に)オリジナルの楽曲とミュージックビデオを完成させることができたという事実は計り知れない喜びでした。

この経験を通じて痛感したのは「特別な才能がなければクリエイターにはなれない」という時代は、もはや過去のものになりつつあるということです。生成AIという、かつてはSFの世界の出来事だったような魔法のテクノロジーが、今や私たちのすぐそばにあり、誰にでもその力を貸してくれます。重要なのは、専門的なスキルや知識の有無ではなく、「何かを作りたい」「表現したい」という純粋な好奇心と情熱、そして一歩踏み出す勇気です。

クリエイターになるための敷居は、あなたが思っているよりもずっと低くなっています。そして、そこに広がるチャンスは、あなたが想像するよりもずっと広大です。この記事で紹介したツールや手法は、あくまで数ある選択肢の一つに過ぎません。AIの世界は日進月歩で進化しており、これからもさらに新しく、さらに強力なツールが登場し続けるでしょう。

もし、あなたの中に少しでも「何かを生み出してみたい」という小さな炎が灯っているのなら、ぜひAIという追い風を受けて、その炎を大きく育ててみてください。最初は小さな一歩かもしれません。ChatGPTに雑談を投げかけるだけでもいい。Suno AIで適当なプロンプトから曲を作ってみるのもいいでしょう。Midjourneyで夢に見た風景を描き出すのも素晴らしい体験です。

私が「マイナス」の地点からスタートして、多くの方に見ていただけるMVを生み出せたように、次はあなたが「時代の凄さ」を証明する番です。AIは、あなたの創造力をどこまでも拡張してくれる、最高のパートナーとなってくれるはずです。

さあ、あなたもAIと共に、まだ見ぬ新しい物語を紡ぎ出してみませんか?
その先には、きっと想像もしていなかったような、素晴らしい世界が待っています。

妖精アーヤ
By 妖精アーヤ
デザイン・アートディレクター歴10年以上フリーランスです。数々のAI動画で受賞経験有り。ViduをはじめとするAI動画生成を使い、企業のクライアントワークの動画を作成したりAI動画コンテストに参加しています。
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